これまで3大栄養素である脂質、とくに『脂肪酸』についてお伝えしてきました。
脂肪酸の働きの1つとして、「プロスタグランディンの原料となる」という働きがあります。
ここで重要なのは、プロスタグランディンは脂肪酸の種類によって働き方が違うということ。
これは脂肪酸の摂取バランスという観点からみると、体の健康にとってすごく重要なことになってきます。
そこで、今回は『脂肪酸とプロスタングランディン』について書いていきますね。
プロスタグランディンとは?
プロスタグランディンはホルモンに似た物質(ホルモン様物質)と言われ、体中にある多くの組織や器官に存在し、各組織や器官の働きを部分的に支えコントロールしています。
全身を調節しているホルモンに対して、部分的な調整をしているプロスタングランディンは「第三のホルモン」と呼ばれているんですね。
プロスタグランディンの働き
プロスタグランディンは多くの働きがあり、現在わかっているだけでも下記ような作用に関係しています。
- 痛みを起こしたり、逆に痛みを止めたりする。
- 眼球・関節・血管の中の血圧を変える。
- 出産・流産・生理のトラブルなどに関係。
- 血圧の拡張と収縮。
- 側副血行を増やしたり減らしたりする。
- 内分泌ホルモンを標的器官に送り出させる。
- 消化器官・目・耳・心臓・動脈などの筋肉の自動的反射をスムーズに行わせる。
- 細胞内のカルシウムやイオンの出し入れをコントロール。
- アナフィラキシー・ショックに関連。
- 十二指腸潰瘍を防いだり、逆に起こしたりする。
- 利尿や塩分の体内保持をコントーロルする。
- 血栓の形成に関係。
プロスタグランディンと脂肪酸の関係
プロスタグランディンは分子構造上、必須脂肪酸に似ていているので、リノール酸(オメガ6)やαリノレン酸(オメガ3)の必須脂肪酸を原料として人間の体内でつくられています。
ただ、同じプロスタングランディンでもリノール酸(オメガ6)からつくられるものと、αリノレン酸(オメガ3)からつくらるものとでは別系統であるといこと。
例えば、働きの1つに「痛みのを起こしたり、抑えたりする」という働きがあります。
痛みを起こすタイプのプロスタグランディンは飽和脂肪酸やリノール酸(オメガ6)やトランス脂肪酸が原料。
一方、痛みを起こさないタイプのプロスタググランディンは、αリノレン酸(オメガ3)が原料です。
現代の食生活は、オメガ3とオメガ6の摂取バランスが大きく崩れていることは前回の記事でお伝えしました。
これは、プロスタングランディンの作用バランスも崩れるのと同じことだと言えます。
それでは、プロスタグランディンのバランスが崩れたらどのようなことが起こるでしょうか?
プロスタグランディンの働きには、相拮抗する働きをしているものもあるのでプロスタグランディン同士の体内バランスが正常でないと、体にトラブルが生じる可能性があります。
例えば、食物を消化する消化器官が消化器官自身を消化してしまわないのは、実はとても不思議なことですよね?
これはプロスタグランディンがそれを防いでいるからなんです。
ですので、最近では消化器の潰瘍の原因は消化器の壁を保護するプロスタグランディンの不足と考える研究者が多く、原因はプロスタグランディンの原料となっているオメガ3不足だという学者もいるくらいです。
このようなことから、プロスタグランディンの原料となっている脂肪酸はしっかりとバランスよく摂っていくことが大切であることが言えますよね (^^)/
まとめ
ひとくちにプロスタグランディンといっても、たくさんの種類や働きがあることがわかっています。
そして、ある種のプロスタグランディンだけが過剰につくられてもバランスが悪く、やはり体の中で問題をおこしてしまうのです。
現代の食生活において、私たちの体はオメガ6が原料のプロスタグランディンは十分に足りていますが、オメガ3の原料のプロスタグランディンは決定的に不足しています。
それが原因で、現代病が発生している可能性はきわめて大きと言えるでしょう。
不足している必須脂肪酸である「オメガ3」を積極的に摂っていくことは、私たちの健康づくりに大変役立っていますので、ぜひ普段の食事のなかに多く取り入れてくださいね(^^)v
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