前回は「ミネラルの起源」、体にとって必要な「必要ミネラル」と体に有害な「有害ミネラル」についてお伝えしました。
※『ミネラル』の起源はビッグバン!?必須ミネラルと有害ミネラルとは?
このなかで、日本の土壌のミネラル含有量は欧米に比べて全般的に低いことをお伝えしていますが、ここ最近、日本人のミネラル不足が問題視されるようになってきていますよね。
そこで、今回は『ミネラルが不足すると体にはどのような影響があるか?』について書いていきますね。
目次
ミネラルの必要量と働き
ミネラルの欠乏症と過剰症
ミネラルは必要量と過剰症が現れる幅のが狭いことが、ビタミンと違うところです。
ある程度までは体内で貯蔵されますが、限度を越すと「過剰症」が現れます。
しばしば起こるのがヨウ素や鉄。
ヨウ素が欠乏すると甲状腺の機能が低下して「橋本病」が起こり、反対に過剰が続くと、甲状腺機能亢進からバセドウ病が起きやすくなります。
ミネラルが不足している場合が多い状態
病気という程ではないけれど、次のような状態はミネラル不足が考えられます。
- 体がだるく、エネルギーが不足している感じがする。すぐ疲れる。無気力。
- すぐ風邪をひきやすい。一度ひくと治りにくい。
- 落ち着きがなく、ちょっとしたきっかけでイライラしやすい。
- 緊張しやすく、ストレスに弱い。
- 集中力が長く続かない。もの覚えが悪い。
- 頭がよく痛む。けいれんしたり、つったりする。
- 筋肉が硬い。
- 関節に痛みを感じる。
- 血圧が高い。心臓が弱っている。動悸、息切れがする。
- それほど油っぽいものを食べているとも思われないのに、血中コレステロール値や中性脂肪値が高い。
- 血糖値が高まりやすく、上手にコントロールできない。
ミネラルは競合して働く
牛乳とカルシュウムとマグネシウム
年齢とともに骨密度が減り、骨粗しょう症予防のためにカルシウムを摂ろうと牛乳をたくさん飲もうする方がいます。
しかし、牛乳をのんでもカルシウムは摂れません。
なぜなら、カルシウムを骨の細胞に十分に吸収するためには、マグネシウムが「カルシウムの半分~同じ量」だけ必要になってくるからです。
カルシウムとマグネシウムの理想の摂取バランスは「2:1」といわれています。しかし、牛乳にはカルシウムは多く含まれていますがマグネシウムは不足しているのです。
牛乳を飲んで血液中のカルシウムを調べると、血中カルシウムは増えますが、カルシウムは血液中ではなく細胞の中に入らないと働くことができないのです。
それどころが、血液中にカルシウムが多くありすぎると悪性腫瘍や副甲状腺機能亢進症にも影響します。
貧血改善や予防に必要な栄養素
♦ タンパク質
鉄とともにタンパク質もヘモグロビンをつくる成分で、十分な摂取が大切。
♦ ビタミンB₁₂ ⇒ 赤血球を生成する
ビタミンB₁₂は葉酸と協力しあって赤血球を生成します。
不足すると造血がスムーズにいかず、赤血球が減ったり異常な赤血球ができたりして悪性貧血が起こります。
動物性食品に多く含まれ、植物性食品にはほとんど含まれない(海苔を除く)ので、採食主義の人は不足しやすい。
♦ 葉酸 ⇒ 赤血球の生成に
ビタミンB₁₂とともに造血に働きます。
赤血球の寿命は120日くらいですが、新しい赤血球をつくるのに葉酸が不足すると悪性貧血になります。
通常、葉酸は普通に食事をしていれば不足していないのですが、妊娠中や授乳中の人、成長中の子供、食事量の少ない人などが不足します。
♦ ビタミンB₆ ⇒ 赤血球の生成に欠かせない
タンパク質の合成や細胞分裂に必要です。
腸内細菌の働きで、普段は体内では不足しないはずですが、実際は欠乏する人も多いです。
♦ ビタミンC ⇒ 鉄の吸収をよくする
鉄の吸収をよくし、ヘモグロビンの合成を助け貧血を予防します。
また、赤血球の生成に必要な銅の吸収もよくします。
♦ ビタミンE ⇒ 赤血球の細胞膜を強くする
赤血球の細胞膜の脂質を酸化から守り、強くすることにより赤血球が正常に働き、貧血を防ぎます。
抗酸化作用のあるビタミンC、ベータカロチンと一緒にとると相乗効果が高まります。
♦ マグネシウム ⇒ 血液細胞の新生を促進する
マグネシウムは体内で各酵素の働きを助けます。
造血組織での血液細胞の分裂もその1つで、酸素の活性化に作用して血液細胞の生成を促進します。
マグネシウムが不足すると貧血を誘発します。マンガン・亜鉛も同様の作用をします。
♦ 銅 ⇒ 鉄をヘモグロビンに変える
吸収された鉄とヘモグロビンの合成を促す働き。
銅が不足するとヘモグロビンがうまく合成できず、量が減ったり、赤血球が小さくなったりします。
酵素を作り、活性化させるミネラルの重要性
酵素はミネラルとタンパク質(アミノ酸)が結合して出来上がったものです。また、ある種のミネラルがないと酵素が十分に働きません。
例えるなら、酵素とミネラルは自動車の両輪のようなものなのです。
ビタミンやミネラルの働きを助けるのが酵素なら、酵素が十分に働くためにもミネラルが必要となります。
まとめ
たんぱく質・炭水化物・脂質・ビタミンと並び、5大栄養素のひとつが『ミネラル』。
ミネラルはビタミンと同様、代謝にも深く関わり体の調子を整えるなどの働らきをしています。
また、人の体の中では生み出せないので食べ物から摂取する必要がある栄養素でもあります。
しかし、これまで問題視されることがなかったミネラル不足がここ数年増えています。
ミネラルの必要量はごくわずかですが、不足すると欠乏症になり病気を引きおこることにもなります。
ここ数年ふえているミネラル不足の要因は、
- コンビニのお弁当や総菜パン、ハンバーガー・ラーメンなどのファーストフードで食事をすませる。
- 野菜が極端に少ない食事が多くなる。
- 乳製品や小魚などをとる機会が減ってきている。
数十年前に比べてタンパク質の摂取量が男女ともに減っているのに対して、脂質の摂取量が増えていて、野菜の摂取量も60~70代以外は大幅に不足しているのが現状です。
このような食生活の乱れや偏りは、ミネラル不足も招いているのです。
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