前回、人間は60兆個の細胞から造られていて、その細胞が日々新陳代謝を繰り返しながら私たちは生きていることをお伝えしました。
そこで大事なことは日々、新陳代謝を繰り返す細胞が質の良い細胞であるということ。
質の良い細胞にするためには体質を変えることです。
つまり体質=「細胞の質」だと言えるのです。
質の良い細胞はつくるには、細胞の原料となっている栄養素を必要な量だけとっていく必要があります。
必要な栄養素がとれていれば健康になれるし、栄養素が不足していれば病気になってしまうかもしれませんね。
- 栄養素の不足した食事 ⇒ 質の悪い細胞 ⇒ 悪い体質 ⇒ 病気
- 必要な栄養素がとれている食事 ⇒ 質の良い細胞 ⇒ 良い体質 ⇒ 健康
これらの栄養素を知ることで「元気な細胞にするためにはどうすればいいか?」がわかってくるかもしれません。
今回は⑧の空気、とくに近年問題となっている『環境ホルモン』についてお伝えしていきますね。
目次
環境ホルモンとは
ホメオスタシス(恒常性維持機能)
私たち人間は、恒常性(ホメオスタシス)維持機能をもっていて、環境が変化しても体の状態を一定に保とうとする働きが備わっています。
例えば、「熱くなったら体が勝手に汗をかいて体温を調整する」といったような働きですね。
私たちはとくに意識していないけれど、このホメオスタシスの働きによって体は勝手に状態を安定させるように働いてくれています。
このホメオスタシスは、「神経系・内分泌系(ホルモン)・免疫系」の3つの分野の働きで維持され、この3つの分野が1つのシステムとして働いていて健康な状態を維持してくれているのです。
環境ホルモンが内分泌に影響を与える
環境ホルモンは、ホメオスタシスの維持機能を調整つするために働いている内分泌(ホルモン)の働きに影響を与え、私たちの体に障害や有能な影響を引き起こす作用を持つ物資のこと。
一言でいうと『内分泌かく乱物質』。
こうした物質は普段は人の体の外にあり、人体とは全く関係ない物質なのですが、その物質が体内に取り込まれると人のホルモンと似た働きをします。
しかし本物に似せた”偽物のホルモン”なので、本物のホルモンの働きを邪魔してしまうのです。
さらにホルモンと同じように、ほんの少しで体の調子が悪くなってしまうんですね。
ホルモンとレセプターと「鍵と鍵穴」のメカニズム
環境ホルモンは、性ホルモンと同じような作用をするものが多いのが特徴。
これが細胞内に入って正常な性ホルモンが”かく乱”されると、性決定のメカニズムは狂い、生殖機能に影響が起きやすくなります。
では、どのようにして環境ホルモンが影響するのでしょうか?
内分泌器官から分泌されたホルモンは、目的とする細胞の核内の「受容体(レセプター)」と結合して、はじめてホルモンの効果を発揮します。
このホルモンと受容器の組み合わせは1対だけに決まっていて、『鍵と鍵穴』の関係に例えられます。
例えば卵巣や乳房の細胞には、たくさんのエストロゲンのレセプター(エストロゲンの入り口)がありますが、そのレセプターからホルモンは細胞の中に入って働きます。
ところが、環境ホルモンはエストロゲンと似たような形をしているので、環境ホルモンがエストロゲンを押しのけて、エストロゲン・レセプターから細胞のなかに入ってきます。
環境ホルモンは、細胞のなかに入って女性ホルモンの作用をかく乱するし、男性ホルモンの働きを抑制してしまうのです。
環境ホルモンはどこからくる?
こんな人間に害を及ぼす環境ホルモンですが、私たちの生活の中で、かなり身近なところから体のなかに入ってきます。
魚や海藻から
環境ホルモンは、主に食べ物を通して体のなかへ入ってきます。
一番多いのが「ダイオキシン」。
日本人はダイオキシンの約60%を魚介類から摂っていますが、海岸に近いほどダイオキシンで海水は汚染され、そのあたりに住む魚介類も汚染されているのです。
ダイオキシンは脂肪層に蓄積されるので、脂肪の多い魚ほどダイオキシンの濃度も高くなります。
魚はオメガ3の供給源ですが、海が大変汚れているので毎日魚を食べるのはやめた方がいいといえますね。
また、小魚の方が大きい魚に比べて環境ホルモンの量が少ないです。
国によっては、「妊産婦はマグロを食べないように」という注意があるほど、海の汚染は深刻になっています。
野菜や米、果物から
中国産の野菜の農薬が問題になりましたね。
実は、環境ホルモンの疑いのある物質の60~70%は農薬です。農薬は、除草剤・殺虫剤・殺ダニ剤など、たくさんの種類で使われているのです。
ですので、出来るだけ有機農法の野菜や果物、米を食べるようにしたいものです。
調理するときに“皮をむく・しっかり洗う・湯でこぼす”など農薬をある程度減らすことができます。
健康のために玄米を食べる方もいますが、精製した米に比べて玄米の方が農薬が多く含まれています。
玄米を食べるとしたら、有機農法のものをおすすめします。
プラスティック製品から
私たちの日常生活には安くて便利な、プラスティック製品があふれています。
例えば、給食の食器・哺乳ビン・CD・OA機器、お椀・お箸・食用ラップ・カップめん・その他、ペットボトルなどからも環境ホルモンがわすかづつ溶け出しています。
とくにプラスティックの食器に食べ物を入れて電子レンジで温めるのは、環境ホルモンが溶け出してとても危険です。
大気から
ゴミの焼却場で発生してた、ダイオキシンやジーゼル粉塵・殺虫剤・農薬・抗菌・防臭・防カビグッズ・スプレー式やマット式などの殺虫剤、床などの合板接着剤などからも有害な化学物質を体に取り込んでいます。
最近は、中国大陸から飛来する「黄砂」にもPM2.5をはじめ、有害な化学物質がふくまれています。
医薬品や化粧品から
合成の女性ホルモンやアトピー・膠原病治療・関節リウマチ・気管支喘息などで使われるステロイド系ホルモンやインスリンなどは、分子構造が違うために人の酵素では分解できません。
肝臓は、これらを分解するためにオーバーワークになって機能が低下します。
これらの薬品は、完全に分解されずに尿や便の中に排泄されて下水処理現場に入ります。
下水処理場ではステロイド系ホルモン剤や薬の60~80%は完全に除去できず、川や海にはり環境エストロゲン汚染を引き起こします。
また、これらの医薬品は上水道から水道水に取り込まれて私たちの体に入り、環境エストロゲンとしてエストロゲン優勢になるという悪循環も起きてきます。
水道水から
水道水には、消毒のための塩素をはじめ、工場の排水・農薬・殺虫剤・合成ホルモンなど数百種類の汚染物質が入っています。
これらの汚染物質は、私たちの体内で環境ホルモンになります。
お風呂やシャワーのお湯は、水道水を飲む数十倍も多くの汚染物質を皮膚から吸収することになります。
私たちの体の70~80%は水です。もっと健康になりたい・体の働きを高めたいと思うなら、水を十分に摂ることが必要になってきます。
目安としては、1日2リットル以上の安全な水を飲むのがいいですね。
大切なのは、安全な水を摂ること。飲み水やお風呂には、これらの汚染物質を完全に除去できる浄水器をつけることが必要です。
家のなかにも
何気なくつかっている噴霧器式の殺虫剤・衣類の防虫剤・建材や家具から揮発する化学物質・抗菌グッズ・口臭や体臭の防臭剤・シャンプー・衣類の柔軟剤・石油系の化粧品・マニキュアの除光液なども環境ホルモンです。
寝室にはこれらを置かないようにするのが望ましいですね。
ナプキンからも化学薬品が体内に入ります。布ナプキンや化学物質のふくまれないものを使うことをおすすめします。
まとめ
『環境ホルモン』という言葉を知っている人も多いかもしれませんね。
しかし、
- 環境ホルモンとは、どのようなものなのか?
- 体にどんな影響が出ているのか?
環境ホルモンの影響は、「生殖機能の異常・免疫力の低下による健康障害・行動の異常」が表れます。
とくに問題なのが、母親が環境ホルモンにさらされると、胎児や乳幼児ほど被害を受けやすく、大人になってからホルモンに影響が出てくる場合があるということ。
環境ホルモンの本当の怖さと深刻さは、親よりも子の世代に大きく影響を及ぼすことなのです。
そこで次回は「胎児や乳児が受ける環境ホルモンの影響」、また、そのような「環境ホルモンから身を守るにはどうすればいいのか?」をお伝えしていきますね。
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